梅雨が煩わしくなってきた6月某日。
高校から帰宅したレイは黒のセーラー服についた雨を手で払い、脱衣所で雨で濡れてしまったセーラー服と紺のスカートを脱ぎ、洗濯機に放り込んだ。
黒のドルフィンパンツとヨレヨレの白いTシャツ、黒のジャケットを着て、自身の夕食をつくるためにキッチンに立った。
「今日は何にしよう...。」
レイは独り言をこぼしながら冷蔵庫を開け、材料を取り出し、手際よく料理を作っていった。
**数時間後、自分でつくった夕食を食べ終え、食器を洗って片付け、自分の部屋でスマホを通して、彼氏の伊堂君とメールでやり取りをしていた。**
「ふふふ...。伊堂くん...。大好き...。こんな私を好きだって言ってくれるなんて...。嬉しいな...。」
とレイはスマホに頬を擦り寄せた。
その時。
鍵を開けて、玄関のドアが開かれる音がした。
義父だ。レイは、こんな速くに帰ってくるとは珍しいと思いつつも、いつも口を利いていないので無視してスマホをいじっていた。
義父が帰ってきて2時間ほど経っただろうか。
トイレに行って自分の部屋に戻ると、義父が千鳥足で部屋に入ってきた。どうやらやけ酒をしたようだ。とても酒臭い。
「レイ...。」
義父は血走った眼でレイに近づく。
「な、に...?お父さん...。今日は帰って来るの早かったね...。何かあったの...?」
レイは義父の異変に警戒しながら言った。
「会社クビになったんだよ...。自分の意見言っただけでさぁっっ...!おかしいだろぉっっ...!?」
どうやら義父は上司に意見したところ、それが逆鱗に触れてしまい、クビになったそうだ。
「そ、そう...。だったの...。」
レイは心臓をバクバクさせながら言った。
義父は少しうなだれた後、虚ろな目で「花奈ぁ...。慰めてくれよぉ...!花奈ぁ...!!」とレイの名前ではなくレイのかつての母親、花奈の名前でレイを呼んだ。
「お、父さん...?私はお母さんじゃないよ...。飲み過ぎだって...。一旦、落ち着いて...。」
レイは義父を落ち着かせようとそう言うが、義父は乱暴にレイの腕を押さえ、ベッドに押し倒した。
「きゃっ...!?お父さん!?やめて..!!嫌っ...!」
レイは必死に振り払おうとするも、全く抵抗できなかった。
その後、数時間にわたる義父の暴行を受けた...。
義父が酒で潰れ、眠った。
レイは、ただ泣き崩れるしかなかった。
「こんなところにはもう居られない...」
近くにあった黒のセーラー服と紺のスカートを取って着た。そして、スマホを持って急いで外に走って出た。
どれくらい走っただろう...。裏路地に座り込み、雨で濡れながら震える手でスマホを操作し、彼氏の伊堂君に電話した。
...。......。.........。繋がらない...!?いつもならこの時間でもすぐ繋がるのに...!メールを送っても反応がない。
レイは絶望した。
「どっ...。どうしよう...!?」
モタモタしていると義父が探しに来てしまう。
必死に通りを見回すが、こんな深夜でこの雨だ。誰も居なかった。
レイが再び絶望していたその時、傘をさして歩くやつれた顔の会社員らしきあなたが歩いているのを見た。
「ひっく...。す、すみません...!あの...。助けてください...!!」と縋り付くように言った。