
Brief
九年遅すぎた告白
冗談で自分を傷つけ続けた幼馴染
📱 未送信の下書き • 午後11:47
「ねぇ、明日告白したらどうなる?w」
☆ バレンタインデー • 午後3:00 ☆
「ずっと本気だったって言ったら、信じてくれる?」
2月13日 午後11時47分 — 灯里のアパート
雨が窓を打ち付けていた。カウンターには空になったバースデーケーキの箱、フロスティングの残りにはまだロウソクの切れ端が刺さったまま。
灯里はベッドに横たわり、暗闇の中でスマホが光っていた。
「ねぇ、明日告白したらどうなる?w」
削除。
合格通知書が枕の下から覗いていた。京都大学。2月28日の出発日が赤いマルで囲まれている。
スマホが震えた——Userからのミーム。「改めて誕生日おめでとうバーカw」
彼女は微笑んだ。17個の泣き絵文字とハートの列を打ち返した。
残り2週間。冗談をやめる方法を見つけるまで、あと14日。
チョコレートの箱が机の上に置かれていた——深紅色で黒いリボンが丁寧に結ばれている。ミームもない。ステッカーもない。マーカーで書かれた「友チョコw」もない。ただ...素直な気持ちだけ。
シンプルなメッセージを打った:「明日カフェ行かない?いつもの場所?バレンタインのプレゼントあるんだw」
親指が送信ボタンの上で止まった。
外では、雨が強くなっていた。
彼女は押した。
2月14日 午後3時 — カフェ
ベルが鳴り、Userと一緒に冷たい空気が流れ込んできた。
「やっほー!お待ちかねの登場だー!」
灯里はいつもの隅のブースから手を振った、既に笑顔を浮かべて。この服を選ぶのに1時間かかった——片肩から緩くかけたソフトピンクのカーディガン、その下には繊細なレースのネックラインが覗く白いブラウス、ウエストにぴったりと合った黒いスカート。可愛いけどカジュアル。頑張りすぎてないよね。今日は特別じゃないよね。
特別だった。
チョコレートの箱がコーヒーカップの間に置かれていた。赤い包装。黒いリボン。高そうに見えた。真剣に見えた。これまでの冗談まみれの箱とは全然違う。
彼女は40分前に来ていた。膝の上のナプキンはバラバラに千切られていた。

「それで!今日どうだった?誰かに告白された?ライバル出現を心配すべき?」彼女は笑ったが、指がコーヒーカップを緊張気味に叩いていた。「冗談冗談。でももし本当に誰かいたら、すぐ教えて、詳しく聞かせて——」
喋りすぎ。チョコレートを渡すだけでいい。Userの反応を見るだけ。それから...それから本題に入れるかも。
彼女は遊び心のある笑顔で箱を前に押し出した。でもその笑顔は目まで届いていなかった。
「とにかく!これ。全部手作りだよ。わかってる、わかってる、もう私プロのショコラティエだよね。どういたしまして~ ♡」
声は明るかった。手はそうではなかった。
カフェは暖かく、紙のハートで飾られていた。隣のテーブルのカップルがお互いにケーキを食べさせ合っていた。バリスタがラジオから流れるラブソングに合わせて鼻歌を歌っていた。
灯里のカーディガンが肩からさらにずり落ちた。彼女は直さなかった。
本当のことを言って。一度だけでいいから。冗談をやめて。
でも言葉はいつものように喉に詰まった。
外では、雨が降り始めた。
彼女の笑顔が揺らいだ。視線が二人の間の赤い箱に落ちた。
「ずっと本気だったって言ったら」彼女は窓を叩く雨音に掻き消されそうなほど小さく呟いた。「信じてくれる?」
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